調理師に求められる能力

調理師に求められる5つの能力

調理師に求められる能力調理師に求められるのは、食材を美味しく、安全に調理することです。

そのために、どのような能力が必要とされているのかを見てみましょう。

  1. 食材の知識
  2. 衛生学的知識
  3. 調理に必要な技術
  4. コミュニケーション能力
  5. 調理師に大切な「心」

食材の知識

食材をおいしく調理するために

食材の知識や、食材に合った調理法を知っていることと、それらの知識を元に、食材を調理する能力が必要とされます。

一つの食材であっても一年を通して同じ味ではありません。

旬には旬のおいしさがあり、また、旬を過ぎても調理法によっては旬のおいしさを超えることがあります。

それから、産地によって特性が異なる食材もあります。

そういった食材の特性を熟知して、その食材に合わせた調理をすることが、調理のプロである調理師には求められます。

安全に提供するために

強い毒をもつふぐの調理には「ふぐ調理師」が必要ですが、調理するために専門の資格を必要としない食材であっても食中毒の原因となる食材があります。

食材そのものに食中毒の原因がなくても、組み合わせによっては味が悪くなったり、体に悪影響を与えたりするものもあります。

このような食材の特性を理解し、美味しく、安全に調理するためにも食材の知識は欠かせません。

海外の食材

海外の食材を新鮮な状態で輸入できるようになり、多くの飲食店で提供される機会が増えています。

調理師としてのキャリアが長い方でも、初めて調理する食材に出会うことも増えるでしょう。

そんな時に、その食材の知識を持っているだけで調理の幅が広がります。

富士山の世界遺産登録や、2020年の東京オリンピックなどを契機に、海外からの旅行者も増えています。

今後、海外食材に精通した調理師が現場で求められることが増えることが予想されます。

衛生学的知識

食の安全を守るために

人の免疫システムは、ウイルスや菌に対しての抵抗力を持っています。

しかし、体内に侵入するウイルスや菌の量や強さによっては、免疫システムが負けてしまい、腹痛や下痢などの食中毒症状を引き起こすことがあります。

場合によっては命にかかわることもあります。

食事の機会は、ウイルスや菌が体内に入る機会でもあります。食材そのものが傷んでいたり、調理器具に菌がついていたり、思わぬ原因が食中毒を引き起こすことがあります。

どれだけ清潔にしても、ウイルスや菌をゼロにすることはできません。

しかし、正しい知識があれば、事前に対処することができ、食中毒を未然に防ぐことができます。

厚生労働省食中毒統計資料を元に作成

厚生労働省食中毒統計資料を元に作成

最近では、日本で調理師免許を取った方が、世界の調理業界から注目されています。

その理由の一つに、日本で調理師になるためには衛生学を身につけなければならないことが挙げられます。

調理業界において、衛生学を身につける必要性はますます高まることが予想されます。

調理に必要な技術

調理師は「技術職」

調理のプロとそうでない人の一番の違いは、「同じ料理を何度も作れるか」にあると言われています。

食材の切り方や、混ぜ方、和え方、火の入れ方。道具の使い方、手入れの仕方。

これらすべての技術が、毎回同じようにできること。

それがプロに求められる技術です。

盛り付けの技術

食事の満足度に見た目は大きく影響します。

ある実験で、硬い食べ物を食べることができない方に、粥状の食事と固形(通常)の食事を見せたところ、固形の食事に大きく反応を示すという結果がでました。

食べられないと分かっていても反応してしまうほど、食事と見た目は密接な関係にあることが分かります。

「料理は味」とは言われますが、やはり見た目も大切なのです。

料理をより美味しく見せるための盛り付け方や器を選ぶセンス、季節に合わせた料理の提供など、食事を楽しむ演出ができることも、調理師に必要な能力です。

段取りの技術

調理器具の準備、食材の下ごしらえ、調理、盛り付け、後片付け。一つの料理を作る工程はたくさんあります。

食材を美味しい状態で提供するためには、この工程を考え、段取りを組むことと、段取り通りに実行する能力が必要不可欠です。

実際の仕事場では、複数の調理を同時進行で行うこともあります。

このような事態も想定した上で、事前に工程を考えておく能力が必要とされています。

臨機応変な対応

調理をしていて食材が焦げてしまったり、使えると思っていた食材が傷んでいたりと、思わぬアクシデントに遭遇することもあります。

こんな時には、冷静に次の一手を考えることが求められます。

素早い決断力

どの料理から提供するべきか。今入ってきたお客さんをどの席に案内するか。明日のためにどのくらいの量を仕入れるか。

調理師が働く現場では、即断が求められることが多々あります。その場の状況に合わせて判断をし、的確に行動をする。

または、指示を出す。食材は生ものです。その時々に合わせた素早い決断力が必要です。

コミュニケーション能力

調理はチームワーク

調理の仕事は、調理場の中だけではなく、お店のスタッフや仕入れの業者さんとの関わりが深い仕事です。

介護施設や病院で働く場合には、管理栄養士や医師、介護士と意見交換を行いながら仕事を進めます。

調理のプロとして、調理師同士はもちろん、他業種の方とのコミュニケーションを取りながら、「食を通じて人の健康促進にかかわる」ことが求められています。

厳しい上下関係

調理師の世界は縦社会で、年齢よりも実務経験と実力が重要視される世界です。

調理師としての最初の仕事は雑用係で、先輩たちが仕事をしやすいようにフォローをすることがメインとなります。

この時期には、先輩に多少理不尽なことを言われても、お客様の前では笑顔で仕事をし、先輩たちから仕事を教えてもらう必要があります。

先輩の立場になった場合には、部門責任者や料理長などの責任を担いながらも後輩を育てる必要があります。日々、忙しい業務だからこそ、円滑なコミュニケーション能力が必要となります。

調理師に大切な「心」

おもてなしの心

様々な工程を一人で行う調理師にとっては、様々な能力が必要となりますが、何よりも大切なのは、「食べてくれる人のことを考えて調理をする」心です。

同じ料理であっても、小さな子ども向けに辛みを減らしたり、咀嚼力が低下した高齢者さんのために柔らかめに調理をしたりと、食べてくれる人のことを思って調理ができると、調理師としての格がぐんと上がります。

食を楽しむ心

人は生命を維持するために食事をします。しかし、それだけではありません。料理の盛り付け、におい、食感など、全ての感覚を使って食事を楽しんでいます。

調理師が、料理を食べてくれる人と同じように食事を楽しむ心を持って、料理に愛情を注いで作られた料理は、その味以上に食べる人を楽しませてくれます。

調理を通じて人々の生活を支える調理師には、必要とされる能力がたくさんありますが、それだけにやりがいを感じることができる職業でもあります。

調理師が必要とされる現場も増えています。次へのステップを目指して、技術と知識に磨きをかけておきましょう。

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